<地アタマ>という言葉があります。「あの人は地アタマがいい」とか「地アタマがいいから苦労しないで数学をものにできた」などと使います。
「地アタマがいい」というのは「生まれつき備わっている、のみこみの早さやもの分かりのよさ」のことです。一生懸命勉強して後天的に獲得したのではない、生まれつきの賢さ、それが地アタマがいいということです。
塾の講師を長年していると、地アタマが良い悪いはあります。特に小学生では、その差は顕著です。字アタマが凡庸で、御三家を始めとした難関中学への合格はなかなか果たせません。けれどもこの地アタマがいい悪いの判断は、けっこうやっかいなものです。良さそうに見えても実はただの早熟で、小学3年・4年ではなかなかの成績だったけれど、5年生から失墜して、小学6年では秀才でもなんでもない、旅人算や植木算は分かってもニュートン残は全く無理なんて子も多くいます。
生まれつきの才能は確かにあります。けれども地アタマは鍛えなければ、あっという間に経年劣化してしまいます。将来はそうとうなやり手になるだろうなと周りが期待している頭の回転が早くて切れる子も20歳あたりでは凡庸な人だったりします。
地アタマが悪いと思うような人も、長い間鍛え続けて、生来の頭の良い人と互角に渡り合えるほどの明晰な頭脳となったりします。地アタマは天賦の才を指す言葉ですが、鍛えることができるのです。
では、どうやって鍛えればいいのでしょう。それは読書です。非受験の小学生や中学生で、夏休みが暇だなという人は、テレビを見ずにひたすら本を読んでください。読書のやり方なんて堅苦しいことは考えず、自分にとって興味がある分野の本を読んでください。ジャンルは物語、小説、自然科学、理系、伝記、なんでもいいです。本を読みよく考えること。長い時間、持続して頭を働かせることができるように4時間も5時間も読み続けてみること。そうすれば地アタマは少しずつ鍛えられます。
30府ではだめです。1時間でもだめ。2時間では足りない。3時間でまあまあです。カルピスを飲んだり、お菓子を食べたりと合間にとても短かな休憩をはさみつつ、頭がしびれるまで頑張って読んでください。