塾を運営し、子ども達と接している中、私が気をつけているのは励まし方です。特に成績悪い中学3年生への励まし方。たとえば偏差値50の高校への進学を本人も強く希望していて、中学3年生の7月の段階で偏差値40しかないといった場合。5教科の合計点が500点満点で70点足りません。何とか合格させてあげたいと思い、夏休みは一生延命に指導します。ですが
、生徒自身はあまり熱心でありません。そこで、このままじゃ合格が厳しいから、勉強時間を増やし暗記や理解に力を入れよう。毎日少なくとも4時間は勉強しようと言います。
その子はどういった反応を示すか。今までと同様やる気はなく、あげく塾をやめたいと言い出します。先生から合格は無理と言われた、勉強へのやる気がなくなった、高校なんてどこでもいいや、こんなことを言って塾にこなくなります。
こういったケースがこれまでの十数年間で3、4回ありました。やめるまではいかなくても、先生に無理と言われたからやる気をなくしたと子どもが言っていると苦情を言われたケースも3、4回ありました。私は無理とは言っていません。生徒のテストのデータを見せ、合格に必要な点数を言い、それとの乖離を示し、客観的に述べているのです。こうした厳しい現実をつきつけた子たちの半分はやる気を示し、頑張るようになります。残りの半分は暗い顔になり、勉強から逃げ出します。やる気を示した半分の子は夏休みを有意義に使い、成績を伸ばします。ですから、私は家庭から苦情を言われようが、ありのままの事実を毎年伝えます。お金をもらっている以上、客観的な事実を伝えるのは責務だからです。何も言わなければ、伸びるはずの子も伸びません。
そして、厳しい現実を伝えたからやる気をなくしたというのは嘘だからです。そんな子はもともとやる気なんてありません。甘く考えているのです。努力をしなくても自分は受かるのだと、根拠のない自信をもっているのです。そして、心の中では、努力をしないと受からないことも分かっているのです。だったら頑張ればいいじゃないかと思うのですが、めんどくさがり屋で、暗記や考えることがおっくうで怠けていたいのです。そしてそんなだらしない自分を正当化するために、自分のやる気のなさを他人のせいにしたがるのです。
確かに、朝から晩まで顔を合わせるたび勉強しろ勉強しろと親に言われれば参ります。もっと良い点数をとれと絶えず言われてては辛いです。けれども、要所要所では勉強しろと言い、テストの結果は悪くても仕方ないから、それなりの努力はするものだということを分からせなければなりません。
他人や環境のせいにして勉強から逃げて、そんな自分の姿を正当化していることがいかに情けないか、しっかりと時間をかけて分からせる必要があります。努力しない、怠けてばかりいて、自分が頑張れないのは周りの人や環境のせいだと思っていては、社会に出たとき大変に困りますから。