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推論の能力を高めると中学、高校、大学の受験がうまくいく

中学受験、高校受験、大学受験で偏差値上位の学校に合格するための学力を身につけるにはどうすればよいでしょう?

それは、数・英・理・社・国の教科学習において、推論をうまく働かせることができるようになることです。

ここでの「推論」というのは、既知のことがらを用いて未知のことがらを理解することです。ビジネスパースンや社会人のためのスキル書などでとりあげられる「推論」は、具体的なことがらを抽象化させるというように、難しく説明された内容となっていますが、受験のための教科学習での推論はそんなに難しいものではありません。「既知のことがら=これまでの勉強で身につけた学習内容」を使って「未知のことがら=新たな学習内容」を理解し、覚えることが教科学習です。

たとえば、日本の歴史で、鎌倉時代を新しく習うとします。それまでは貴族の世の中である奈良時代や平安時代を習っていたので、武士の世の中である鎌倉時代はイメージがわきにくいでしょう。けれども、室町時代や江戸時代は理解しやすくなるでしょう。これは鎌倉時代を習うことで得た学習内容によって、未知の学習内容である室町時代や江戸時代のイメージを獲得しやすくなるからです。すなわち、鎌倉時代の学習内容を用いて、室町や江戸時代の学習内容を推論させたわけです。また、鎌倉時代においても、平安末期、武士である平清盛の権力台頭ということがらを既知の知識として用いることで、武士の世である鎌倉時代の理解を助けてくれます。

また、推論の能力の高さは、普段の教科学習の他に、受験時に試験問題を解く際にも有利となります。これまでの入学試験は、知識量が多いほど有利なものでした。思考力を必要とする数学においても、その問題の類題を以前に解いたことがあり、解き方を知っていることが有利になります。そのため、学習塾や予備校で数多くの算数・数学の問題を解き、解法を身につけるわけです。

ところが最近の入試の動向として、知識量の多寡を問うことに偏らず、思考力の程度も測ろうという流れになっています。2021年からの大学入試の改革に伴う共通テストの実施もそれです。全国の都道県立高校の入試問題は、この大学入試の共通テストよりも前に、思考力を測る問題を多く出題するようになっています。

この思考力を問う問題というのが、具体的には推論の能力の高さを測る問題であるわけです。

国語ならば、文章の読解問題で行います。論理的文章ならば、受験生の圧倒的多数が知らないような細かなことがらを話題とした文章からの出題にします。知らないことを話題にするといっても、徹頭徹尾知らないことがらばかりでは難度がきわめて高くなります。ほとんどの受験生が既に知っているレベルのことがらを土台にして、まだ知らない細かな内容を説明していくという内容の文章になります。

たとえば太古の地球で原始の海から生命が誕生したという仮説を説明する話です。これについてのの詳しい内容を細かな点まで理解するには推論の高い能力が必要になります。文章では、現代の海洋において、動物プランクトンが植物プランクトンを食べることを述べ、このことを既知の事実とし、それとの類推によって、原始の海と、その海洋中での生命の誕生を読み手に理解させようとしています。推論の力があれば原始の海と生命の誕生も理解できるのですが、推論の力が弱いと理解できず、出題された問題も解けません。

このように、普段の教科学習と入試の局面の2つで必要となる推論の能力ですが、どのようにすれば高まるのでしょうか?

それは、普段の学習で、既知のことがらを用いて未知のことがらを理解する練習をすることです。この練習は読書が最適です。読書といっても物語や小説ではなく、説明的文章などがいいでしょう。理科的なテーマを扱ったものや政治や法律や経済など、社会的なテーマを扱ったものです。未知のことがらが多く書かれた文章ということです。

他には暗記に頼りすぎないことです。知識量が少ないのに考えてばかりでは、実のある考えとはなりませんから、まずは暗記して知識量を増やすことは重要です。けれどもいつまでも暗記ばかりではなく、ある程度知識の蓄積が達成されたら、未知のことがらを勉強するとき、いきなり暗記から始まらずに、既知のことがらを使って未知のことがらを理解しようとする試みも必ず行うようにすれば、十分な推論の能力が身につきます。