中学生の国語

【敬語】尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い

敬語は、話し手が直接的、あるいは間接的に向かい合っている相手に対して、敬いのある気持ちを示すときの言語表現です。直接的な相手というのは、たとえば、自分の目の前にいる相手、電話で話をしている相手、メールを送信する相手などです。間接的な相手というのは、たとえば、AさんとBさんが、共通の上司であるC氏について話をするときのC氏です。簡単に言うと話題中の人物ということです。

尊敬語

相手の動作・様子・持ち物などを独特の言葉で表すことによって、相手に対して敬意を示すことがあります。このときの独特の言葉を尊敬語と言います。また、相手の呼び名を表す「先生」「○○様」「貴○○(たとえば貴社)」「○○殿」なども尊敬語になります。

例 敬意を払う相手の動作を表す尊敬語

社長が作業の現場を「見る」。→ 社長が作業の現場を「ごらんになる」。

敬意を払う相手は社長です。「見る」は、社長の動作を表す言葉です。敬意を払う相手である社長の「見る」という言葉を、「ごらんになる」という独特の言葉に置き換えています。この「ごらんになる」という言葉が尊敬語です。尊敬語は、このように相手の動作を表す言葉に対して用います。

例 敬意を払う相手の状態を表す尊敬語

社長が「病気」になる。→ 社長が「ご病気」になられる。

敬意を払う相手は社長です。「病気」は社長の状態を表す言葉です。敬意を払う相手である社長の、「病気」という言葉を、「ご病気」という独特の言葉に置き換えています。この「ご病気」という言葉が尊敬語です。「ご○○」や「お○○」というように、名詞の前に「ご」や「お」を付けて、普通の言葉を尊敬語に変えています。

例 敬意を払う相手の持ち物を表す尊敬語

お客様の「荷物」。→ お客様の「お荷物」。

敬意を払う相手は客です。「荷物」は客の持ち物を表す言葉です。敬意を払う相手である客の、「荷物」という言葉を、「お荷物」という独特の言葉に置き換えています。この「お荷物」という言葉が尊敬語です。「ご○○」や「お○○」というように、名詞の前に「ご」や「お」を付けて、普通の言葉を尊敬語に変えています。 

動作を表す尊敬語の種類

動作を表す尊敬語の種類は、大きく分けて3種類あります。

1) 動作を表す言葉と「〜れる」「〜られる」を組み合わせる。
例 先生が来る。 → 先生が来られる。
社長がご自身で運転する。 → 社長がご自身で運転される。

2) 動作を表す言葉と「お(ご)〜になる」を組み合わせる。
例 先生が飲む。 → 先生がお飲みになる。
社長が新聞を読む。 → 社長が新聞をお読みになる。

3) 独特の言葉を用いる。
例 社長が工場を新製品を見る。 → 社長が新製品をごらんになる。
先生がケーキを食べる。 → 先生がケーキを召し上がる。
先生が家に来る。 → 先生が家にいらっしゃる。

主な尊敬語

主な尊敬語には以下のものがあります。

する―なさる
言う―おっしゃる
行く―いらっしゃる、おいでになる
来る―いらっしゃる、おいでになる
食べる―召し上がる
与える―くださる

謙譲語

自分の動作を独特の言葉で表すことによって、相手に対して敬意を示すことがあります。このときの独特の言葉を謙譲語と言います。また、自分の呼び名を表す「わたくし」「わたし」「家内」なども謙譲語になります。尊敬語は相手の動作などに対して用い、謙譲語は自分の動作などに対して用いるという、明確な違いがあります。相手を直接持ち上げるのが尊敬語、自分を低くすることによって相手を持ち上げたことになるのが謙譲語です。

例 自分の動作を低める言い方をする謙譲語

社長に意見を言う。 → 社長に意見を申し上げる。

敬意を払う相手は社長です。「言う」は、自分の動作を表す言葉です。社長に敬意を払うために、「言う」という言葉を、「申し上げる」という独特の言葉に置き換えています。この「申し上げる」という言葉が謙譲語です。謙譲語は、このように自分の動作を表す言葉に対して用います。

動作を表す謙譲語の種類

動作を表す謙譲語の種類は、大きく分けて2種類あります。

1) 動作を表す言葉と「お(ご)〜する」を組み合わせる。
例 先生に渡す。 → 先生にお渡しする。

2) 独特の言葉を用いる。
例 社長からほうびをもらう。 → 社長からほうびをいただく。

主な謙譲語

主な謙譲語には以下のものがあります。

する―いたす
言う―申す、申し上げる
行く―うかがう、参る
来る―うかがう、参る
食べる―いただく、頂戴する
受けとる―たまわる、ちょうだいする
いる―おる
見る―拝見する
聞く―うかがう
会う―お目にかかる
分かる―かしこまる、承知する
読む―拝読する
与える―差し上げる
思う―存じる
帰る―おいとまする
知る―存じる
伝える―申し伝える

丁寧語

話し手や書き手が、聞き手や読み手に対して、丁寧に述べるときに用いる言い方です。

丁寧語の種類

1) 文末を「~です」「~ます」「~ございます」といった言い方にして丁寧な気持ちを表す。

例 明日はおそらく晴れると思います。

2) 「ある」の丁寧な言い方として「~ございます」を用いる。

例 お食事が用意してございます。

3) 「お」「ご」を言葉の先頭に付ける。

例 お暑いですね。 ご飯はいかがですか? お昼までには帰宅します。