将来の就職や、労働収入を考えた場合、大学は理系に進むべきです。なぜなら大学の文系卒と理系卒では年収や生涯収入に大きな差があるからです。
「会社の幹部職や役員は、文系の法学部出身の人がほとんどで、理系出身の技術者はそうした人たちの下で安い給料でこき使われる」とよく言われます。「自動車メーカーのトヨタは社長が文系だし、電力会社の社長も文系が多いし、公務員も文系だし、安定した職業である銀行・保険会社・金融関係は文系のイメージがあるし、年収は文系がいいんじゃないかな」と思っている人も多いようです。
けれどもこれらは違います。
日本の有名企業の社長は理系出身者が圧倒的に多く、トヨタや電力会社などは例外です。銀行や保険会社なども理系出身の方が実は就職しやすいのです。なぜかというと、金融工学と言われる手法で、預金者や保険の加入者やらサービスの利用者から預かったお金を増やすからです。融資と利息で利益をあげるよりも、投資で利益を生み出すことに熱心だからです。顧客への投資のアドバイス、企業間合併の仲介、ALM、為替取引のための分析などなど。これらは理系の知識とセンスが必要です。
そして、理系の人間は、事務と営業がメインですが、理系の人間は技術関連の仕事+事務+営業とやれる仕事の幅が広いです。理系は文系に比べて社内でさまざまな業務に対応できるし、他の会社への転職もしやすいです。
では大卒理系と大卒文系とで、どのぐらい収入に差があるかについては、データが少し古いのですが、経済産業研究所(RIETI)が2011年に発表したものがあります。1632人、平均46歳の人達の平均年収を調べた結果、文系学部出身者が559万円で理系学部出身者が601万円になったそうです。理系が42万円も上回っているとのこと。国立大理系の男性は、30歳では文系・理系のどちらも同じです。40歳だと理系の方が100万円上回り、50歳では理系の方が150万円近く上回っています。
理系にはもう1つ私大理系というのがあります。英語・数学・理科が受験科目で、国語を受験科目に含んでいないことが多いです。国語が苦手な理数系というと、コミュニケーション能力が低く、会社に入っても役立たずな人が多いんじゃないの?と思う人も多いかもしれません。けれども、それは偏見だと思います。私大理系出身の男性は、30歳だと国立文系の男性より年収が100万円ほど低いけれども、40歳で同じになります。そして50歳以降は国立大文系の男性よりも年収が50万円多くなります。
派遣型労働やパート型アルバイト型の雇用でない、正規社員も、文系が60%に対して理系は82%となっています。正社員として安定した待遇で働けるのです。役職者の割合も文系が20%で理系が35.0%。理系は何から何まで強いのです。
それ以前には、2000年と2001年に、2回にわたって、私立3大学の社会科学系学部の卒業生の平均年収を調査したことがある。その時は、入学試験で数学を選択したグループと数学を選択しなかったグループに分けて調査をした。当時、「数学は勉強しても社会で役に立たない」ということが、よく言われていたため、実際はどうであるかを検証するのが、目的の1つであった。
また、古い調査ですが、1979年から行われた共通一次試験、そしてセンター試験からの大学入学者で、2001年段階で数学受験者の年収が709万円、未受験者の年収が639万円の平均年収というのもあります。
生保・銀行・証券などの金融関係についても、アメリカではすでに投資においての数学の重要性から理系出身者を中心に採用しています。日本の金融系もこれに倣って、ここ数年は理系を強く求めています。この傾向は今後さらに強まるでしょう。
やはり、大学に行くなら理系、そのためには数学を徹底して勉強することが大切です。数学が苦手でも嫌いでも、復習中心で、解法を暗記しつつやっていけば何とかなります。難関大はきつくても、中堅大学なら入学できます。何より、数学が苦手にならない努力を子どものころからやっておくのがよいです。