私は、個別指導塾を運営しています。位置づけは救済塾のようなものです。主に、できない子が通っています。
できない子の最大の特徴は、考えることを怠けることです。ちょっとした労力も惜しむ。体を動かすのではなく頭を働かせるのを嫌がる。嫌がり続けた結果「バカ」とか「アホ」とか「落ちこぼれ」とかの気の毒な扱いを受けるようになってしまう。
例えば漢字です。中学3年生になってまで、山に上ると書く。登るだよといっても訂正しない。画数が多いから面倒なんです。登るでも上るでもいいと本人は思っている。正しい日本語ができないのは、日本人として情けないと思わない?と聞いてもピンとこない。さらには朝速くおきると書く。I get up early in the morning.の訳を中学3年生になって、15歳で、私は朝速くおきると書く。英語もひどい成績だが、この日本語はない。
識字率が高い日本では、この漢字の書けなさは相対的に文盲的な扱いを将来うけてしまいそう。この子は女子生徒なんだけれど、親が甘い。モンスターハンターのオンラインゲームを家族でしょっちゅうやったり、何かと外食したりで、勉強を求めない。求めないどころか、親が子に遊びを誘う。
まじめで普通の子だから、和気あいあいとしていて家族団らんのいい家庭なんでしょう、おそらく。けれども、これでは親は責任を果たしてないと思う。漢字ぐらいきちんと書けるようにさせないとこの子は、将来の就職試験は全部落ちるでしょう。数学はできるし、計算力もある。でもこの漢字力だと無理。
私は就職できずにいろんな会社の採用試験を受けたことがある。10年間でトータル500は受けただろう。小さな会社だと簡単な掛け算割り算と、漢字の書き取りテストだった。事務系で漢字が書けないのは致命的だから。漢字が書けるかどうかは、英語よりなによりしっかりみる。事務職じゃなくても、領収書を書くのに時間がかかってはダメだから。
できないから、塾に通わせていると親は言うのだろうが、90分の授業を週2回やるだけでは無理。家庭で毎日少しずつでも、30分ずつでも勉強し、頭を使うことを面倒がらないように矯正していかなければならない。それは家庭の力だと思う。無料だから毎日、塾に自習にきなさいと言ってもここまでひどいのに、親も本人も自覚が全くない。自習に来ない。